FSCは環境に適した森林の管理を旨とし、そこから生産される木材製品や紙製品の取り扱いで認証を受けることができる。また、原料にリサイクルされる古紙を使うことも森林の保護に繋がるため、認証の対象となっている。大和グループの場合、色板紙や紙管原紙など板紙では早くにFSC認証を取得している。
ただ、紙管製品での取得は業界でも珍しく、「おそらく当社が初めてではないか」(北村社長)という。紙管製品の業界では現状、FSC認証を特に必要としないという空気が強い。
しかし、2020年開催予定の東京オリンピックやパラリンピックなど大型のイベントを控え、大手企業を中心に、調達資材でFSC認証を求めるケースが増えて来つつある。
大三興業の場合も、今特に需要家から要請された訳ではないが、先行きそういう要請を受けることが予想される。需要家から突然要請を受けた時に、直ぐに対処することも難しいため、今から準備することになった。
リオでの前例、東京でも
2016年に開催されたリオデジャネイロのオリンピックでは、環境意識を高める目的もあって、購入製品は全てFSC認証品でなければならないということだった。それで200社を超す会社がFSC認証に走った。
当然、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けても同じことになろうという見通しで、大三興業としては森林認証で作った紙管の開発に注力している。
リオ・オリンピックでは、選手を表彰する紙とかチケットなどを全てFSC認証紙とした。これは大会委員会の決定であり、大会に関わる全ての紙製品はFSCを取得しなければならなくなった。おそらく、この流れは東京オリンピックまで続くと見られている。
決定事項ではないが、これは十分予想されること。例えばマクドナルドやパナソニック、花王やイオンなどの企業は既にホームページで紙製品はFSC認証紙を使用するとしている。
北村社長は、紙管製品のFSC認証品について、「今、特に需要家に要請された訳ではない。もう一つ言えば、全ての紙管製品にFSC認証を付ける必要はない。今後はお客にPRして行く。そして、認証紙製品が良いなあと思う先には出します。何か環境面で良いことをやることが、企業として好ましいと思うところは、これを選ぶと思う。
普通の紙管と森林保護に役立つ紙管のどちらがいいのか。例えば、同じ値段だったら、需要家はどちらを選ぶのか。『それは、こちら(森林保護)です』と応える人向けの商品です」と説明している。