古紙の回収は一般の家庭や事業所から発生するものを集団回収など専門の古紙業者を通じて行われるものと、行政が主体となり一般廃棄物(ごみ)から分別して回収される行政回収がある。行政回収といっても実際の回収業務を行政が直接行うわけではなく、専門の古紙業者に委託する。
行政回収で集められた古紙は行政によって入札が行われ、これに古紙業者が応札する。そこで落札される価格が常識外れの超高値となり、通常の価格体系による安定した回収システムを不安定にし、脅かす一因になっている。
行政の高値入札問題の背景として、まず古紙の発生減が挙げられる。近年のデジタル化や少子高齢化の進展で、紙・板紙の生産量は2007年のピーク、3127万㌧から昨年の2622万㌧まで約500万㌧減少した。
それに伴い、古紙の回収量はピークの2332万㌧から昨年の2140万㌧まで200万㌧近く減少している。製紙工場に古紙を納入している古紙業者は、メーカーから受けた古紙の注文に数量や納入期日の点で間に合わない場合、高値の行政回収品に手を出してしまうことは想像に難くない。
山上氏によると、「今年度、東大阪市の行政回収の入札価格は、新聞、雑誌、段ボール突っ込みで1㌔あたり16円30銭。これは直納業者が集めて、ベーラー化工し、製紙原料として仕分けたものを手形販売したものだが、そんな高値では絶対落札できない」「大阪市でも1㌔23円とか40円など滅茶苦茶高い価格で落札されている」という。
応札するのは古紙業者だが、これだけの高値で購入されたものが、製紙原料としてメーカーに納入できる訳がない。つまり、ビジネスとして成り立たない価格で売買されているわけである。山上氏はそこに行政回収される古紙の数量や重量のごまかしがあると見ている。
また、行政回収の実際業務を専門の古紙業者に委託する際の委託費は逆に極めて安い。各市町村が環境省の定める一般廃棄物処理基本計画に基づいて行政回収を行う場合、「ひたすら競争原理ばかりに委ねるべきではない。適正な設備能力を有する業者に委託し、その業が成り立つだけの料金を支払わなければならない」としている。
しかし、行政は各市町村が直接回収した場合の膨大な費用(古紙業者が回収する場合の約10倍)に比べると、古紙業者の入札価格は安いという見方をして、例えば1㌔16円50銭といった高値で落札させている。
大阪府下では平成4年から行政回収が始まったが、山上氏が近代協の理事長と大阪リサイクル事業協同組合の当時の代表理事として関与した3市では業が成り立つ適正な価格で入札が行われている。同氏は「適正な入札価格とはやはり、業として成り立つ範囲の上限・下限価格が保たれている」としている。
